今日は昼の日差しは温かかったものの、朝晩はしっかり冷え込んでいますね。
これが季節の変わり目の、体調不良の原因「寒暖差疲労」です。
詳しくみていきましょう!
1.「寒暖差疲労」とは?
< 寒暖差疲労の原因とは >
気温の寒暖差が大きいことにより、自律神経の機能が乱れ、
体が疲れることを「寒暖差疲労」といいます。
人は体温を調整する際、自律神経を使って、体を震わせることで筋肉を動かしたり、
血管を収縮させ筋肉を硬くすることで体温を上げます。
一方、汗をかくことで体温を下げる身体活動も行うため、
それらの働きが1日の中で何度も切り替わると、自律神経が過剰に働き、疲労を誘発します。
エアコンで例えると、暖房と冷房を1日のうちに交互に何度も使用すると、
エアコン本体に負担がかかるイメージです。
寒暖差が大きい季節の変わり目に風邪を引いたり、
体調を崩したりする人が多くなるのも、これが理由のひとつです。
また、冬の時期に、暖房のきいた部屋から寒い屋外に出て、また暖房のきいた電車にのる、
また寒い屋外に出る・・、といった朝の光景も、
体が寒暖差の影響を受けている状況の1つと言えます。
自律神経が乱れることで不調に繋がるメカニズム
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、それぞれの臓器に働きかけます。
いわばアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)の関係です。
この2つは臓器にとって異なる作用であることから、そ
の都度働きを切り替えないといけませんが、本来は徐々に切り替えていくものです。
しかしそれが1日の中で急激に、それも何度もアクセルとブレーキをかけると、
臓器に多大な負担をかけてしまうため、
それぞれの臓器に関係した様々な不調が現れることになります。
< 寒暖差疲労の主な症状 >
主に次の5つの症状が、寒暖差疲労に該当します。
・ 肩こり、腰痛、頭痛
・ めまい、不眠
・ 食欲不振、便秘、下痢
・ イライラ、気分の変化
・ 冷え、むくみ
2.自律神経のトレーニングができていない今年は、寒暖差疲労に特に注意!
< 今年の冬だからこそ起こりやすい寒暖差疲労の要因 >
寒暖差疲労が起こる原因は、原理的には身体に短時間で寒暖差が
生じることで起こります。
しかし、その背景には寒暖差に慣れていない、
言い換えればいつも室内にいて、外で汗をかいたりしていないような場合や、
ストレスが強い状態、
さらには生活習慣が乱れている場合に自律神経が特に働きにくく、
寒暖差疲労が起こりやすいと考えられます。
自律神経は、夏の間に汗をかくことで鍛えられますが、
自粛生活が続いた今年は、室内に滞在することが多かったため、
運動をしたり、外に出て汗をかく機会が少なく、自律神経を鍛えることが十分にできていません。
また、慣れない在宅ワークなどでストレスが多い生活をしているために、
自律神経を調整する力も低下している恐れがあります。
自律神経のトレーニングができていない今年は、
朝晩と日中の気温差や、室内と屋外の寒暖差を調整する能力が備わっていない可能性が高く、
寒暖差疲労が起こりやすい状態です。
3.あなたの寒暖差疲労の原因をチェック!
< 寒暖差疲労 チェック項目 >
寒暖差疲労の原因は普段の生活習慣や自律神経、筋肉量が関係しています。
以下の項目から該当する上位5つをチェックしましょう。
最もチェック数が多いところが、あなたの疲労の原因です。
A
□ 肩こりや腰痛がある
□ イライラする、または気分の変化が激しい
(ストレスがある)
□ 手足が冷えている
□ 不眠である(寝付きが悪い、眠りが浅いなど)
B
□ 便秘や下痢気味である
□ 起床就寝時間が不規則である
□ 食事時間が不規則である
□ 時々めまいがおきる
C
□ 3ヶ月前に比べて体重が増加した
□ 両手の親指と人差し指でふくらはぎの一番太い部分がちょうど囲める
□ 階段を1階分上るだけで息が上がる
D
□ 全身が冷えている
□ 1年前に比べて自然と体重が減った
または食が細くなった
□ 周りの人と暖房や冷房の温度が合わない
A~Dが分かったら、以下で症状タイプをチェック!
①~⑦のうち、特に注力すべき寒暖差疲労対策も確認しましょう。
筋肉量のセルフチェック方法
筋肉は天然のカイロと呼ばれ、身体を温める際やエネルギーをつくるのに重要です。
親指と人差し指で輪っかを作った状態で、
ふくらはぎの一番太いところを囲むことで筋肉量をチェックし、各タイプの参考にしてください。
・ 囲めない(指から少量はみ出す程度):正常な筋肉量
・ ちょうど囲める:運動量が減少している
・ 輪っかとふくらはぎの間に隙間ができる:運動習慣・栄養摂取の状況が悪い
A ストレスが強いタイプ
このタイプの人は、ストレスによって交感神経の反応が過多になり、筋肉が緊張し硬くなっています。
筋肉は身体を温めるカイロの役割を担うため、筋肉をほぐし、汗をかきやすい身体づくりをしましょう。
⇒ 対策①③⑥⑦
B 生活習慣が乱れているタイプ
このタイプの人は、生活習慣の乱れによって、自律神経が不安定になっています。
睡眠や食事、入浴などの生活リズムを一定にするように心がけることで、体内リズムを整えましょう。
⇒ 対策①②⑤⑥⑦
C 運動量減少タイプ
このタイプの人は、運動不足により筋肉量が減少しているため、頻繁な体温調整が必要な状態です。
階段を利用したり、椅子に座らない時間を作るなど、1日15分程度は運動する時間を作りましょう。
⇒ 対策①②③④
D 加齢タイプ
このタイプの人は、加齢によって運動習慣・栄養摂取の状況が悪いため、筋肉が増えにくい状態です。
タンパク質など筋肉の原料となる食べ物を積極的に摂ったうえで、1日15分程度は運動するようにしましょう。
⇒ 対策①②④⑦
対策結果は後述
4.“寒暖のリズム”を取り入れる習慣を│おうちでできる寒暖差疲労対策
寒暖差疲労をケアするためには、乱れた自律神経を整えるのはもちろんのこと、
あえて日常生活に適度な寒暖のリズムを作り、
自律神経をトレーニングすることが重要です。
例えば、昼間は気温が高いため、2時間おきの換気で外気を室内に取り入れることで身体を冷やしたり、
夜は気温が低いので、温かい飲み物を飲むことで身体を温めたりと、
1日の中で意識的に寒暖差をつけることが自律神経のトレーニングになります。
その際に、急に身体を冷やしたり温めたりしてしまうと寒暖差疲労に繋がるため、
ゆっくり寒暖のリズムをつけることが大切で、
エアコンなどの冷暖房機で温度差を埋めるのではなく、
自力で体温調節ができる身体づくりが理想です。
以下①~⑦は、おうちでも簡単に寒暖のリズムをつくることができる対策です。
これらを日常的に取り入れ、気温や室温に順応できる身体づくりをし、
脱・寒暖差疲労を目指しましょう!
~ 温活グッズを使ってみましょう ~
① 身体の局所を温める:
筋肉や内臓を温め、深部体温を上げることで、自律神経を整えましょう。
特に四肢や背骨の周囲は自律神経に関連の深い神経があり、働きを強めます。
・【A.ストレスが強いタイプ】
手首や足首周囲、顔面をカイロやホットタオルなどで温める
⇒緊張しているときや、寝る前などリラックスしたいときに温める(特に若い人におすすめ)
・【B.生活習慣が乱れているタイプ】
お腹、腰部にカイロを貼る
⇒カイロの温度でリズムを作ることが大切で、朝と寝る前など定期的に貼る
・【C.運動量減少タイプ】
血管が表面近くにある、首元、肩甲間部、内ももにカイロを貼る
⇒朝や寝る前など、身体が冷えているときに貼る(運動の際は外す)
・【D.加齢タイプ】
背骨から1.5ー3.0cm脇、痛かったり冷えている箇所を中心にお灸やカイロで温める
⇒朝・昼・晩と3回、リズムを作るために食後に貼る
~ 運動やストレッチをしてみましょう ~
② 運動をする:
散歩、インターバル歩行で循環を良くしたり、筋肉を増やすことで、自律神経を鍛えましょう。
・散歩は距離ではなく、一定のリズムで15-30分、ほどよく行うことが大切
・インターバル歩行は、3分ゆっくり歩き、3分早歩きを繰り返す運動を15-30分程度実施
1分間で60-80歩、2秒吸って4秒吐く呼吸法を推奨
③ 首肩の筋肉をストレッチする:
ストレスにより緊張しやすい筋肉を緩めることで、副交感神経を優位にします。
・両手を後頭部に添えた状態で手の重みで首の後ろを伸ばす
・ゆっくり上を向くことで首の前を伸ばす
・首をゆっくり左右真横に倒す
・肩甲骨周り、腰(骨盤周り)、背中、太ももの裏、ふくらはぎの筋肉を伸ばす
~ 生活習慣の中で取り入れてみましょう ~
④ 身体を温める食べ物を多く摂取する:
深部体温が上昇することで、臓器が安定し、自律神経も安定します。
・土の中の食べ物(根菜類)、冬や寒いところで取れる食べ物を多く摂る
⑤ 規則正しい生活:
睡眠、排便、食事は身体のリズムを作る基本であり、自律神経に強い影響を与えます。
・太陽に当たることで、睡眠物質の前駆物質であるセロトニンを増やし、眠りやすい状態を作る
・睡眠は7時間程度とし、夜23-朝6時の間、寝るのが理想的
・3食きちんと食事をする※
※食間が前後1時間+α程度あれば、個人の食事タイミングに合わせて1日2食でもOK
⑥ 入浴(汗をかく):
1日1回はお風呂で副交感神経を優位にする、または汗をかくなどで自律神経を鍛えましょう。
・必ず1日1回お風呂に入り、体温をあげる
・夜に38-40℃のお風呂に15-20分ほどつかる
・お風呂に浸からない場合は、首から肩甲間部に少し熱め(42℃程度)のシャワーを30-60秒あてる
⑦ なるべく暖房や冷房器具に頼らない:
冷暖房に頼ると自律神経を使わないため、自律神経の活動が悪くなります。
伊藤 和憲(いとう かずのり)先生 記事より
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